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―第1回「女性アスリートと“骨”のはなし」

―第1回「女性アスリートと“骨”のはなし」

  • 2025/12/03

見えないけれど重要な“骨”のはなし

 

このたびエメトレでは、アスリート個別栄養サポートを専門とする管理栄養士/公認スポーツ栄養士・きたみのりさんによるコラム連載がスタートします!

日々、さまざまな競技のアスリートたちと向き合い、「パフォーマンスを高める体づくり」を支えてきたきたさんが、成長期の食事、体調管理、月経、セルフケアなど、競技に真剣に取り組む女性アスリートに向けた実践的なヒントを毎月お届けしていきます。

初回となる今回は、“骨の健康”がテーマ。

未来のパフォーマンスを支えるために、まずはカラダの土台から整えていきましょう。

「走る」「跳ぶ」「止まる」——すべての動きの土台となる“骨”。

見えにくいけれど、競技力や選手生命に直結する「骨のはなし」。

今まさに体をつくっている最中の10代・20代のアスリートはもちろん、保護者や指導者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。

 

―女性アスリートと骨のはなし―

 

 

走る、跳ぶ、止まる。そのすべての動きは、骨があってこそ。
女性の骨量は20歳までにピークを迎え、その後骨量が増えづらいです。

月経による体調やメンタルコントロールなど女性アスリートならではの悩みとの付き合い方で「骨の強さ」が変わり、「競技力」や「選手生命」に大きな影響を与えます。

今日は、そんな見えないけれど重要な土台作りについてお伝えします。

 

 

―なぜ女性アスリートに「骨」が重要なのか―

 

 

どの競技のアスリートにとってもケガは大敵。

これまで積み上げてきた練習もケガによりマイナスからスタートするそんな悔しい思いをした選手は多くいるのではないでしょうか。

特に女性アスリート三主徴の1つである骨粗しょう症は骨密度が低く、骨の中身がスカスカなことにより、疲労骨折やちょっとした衝撃から骨折等大きなケガに繋がりやすいです。

女性の骨量は成長期~20歳までに最大量に達し、20歳以降はこの貯金だけで一生を過ごす、つまり20歳までの体づくりがその後の競技生活や日常生活を左右するといっても過言ではありません。

 

 

―骨量が減ってしまう原因って?—

 

 

競技特性にもよりますが、特に審美系や陸上選手等、軽いほど跳びやすい・速く走りやすいと10・20代の選手の中には減量を意識する選手も出てきます。

運動量を増やしてあえて食事量を落とすことで、体にエネルギー不足を起こさせることで間違った減量等を行った結果、無月経などにつなげるケースも多々あります。

無月経が起きると、本来骨密度が一気に高くなる12~14歳の時期に骨密度が上がらず、骨粗しょう症や疲労骨折のリスクが高まります。

実際に競技のパフォーマンス力からも、無月経の選手と月経が正常に来ている選手では、正常な月経がきている選手の方が競技力が高いといったデータもあります。

まずは14歳以降になっても月経がきていない選手は、オーバーワークになっていないか・自分の競技にとってその身長・体重が本当に適正な体組成なのかを確認してみましょう。

 

 

―骨を強化する食事って?—

 

 

骨を強化するためには大前提としてエネルギーの基になるお米や筋肉の基になる肉魚を必要量食べられているかが重要になります。

もちろん、骨を強化するビタミンDやカルシウムといった特定の栄養素を重点的に摂ることも大切ですが、それだけを摂ってもエネルギー不足は改善されません。

まずは自分が1日にどれぐらいのお米を食べられているか、計って確認してみましょう。

その上で+の栄養素として、ビタミンDの多い魚やきのこ、カルシウムも多い食品を1日に1回摂り入れたり、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持つ大豆製品(豆乳・豆腐など)を活用することもおすすめです。

レシピも参考にしてみてください。お弁当の汁物にしたり、補食での活用も良いですね。

 

★参考レシピ鮭ときのことほうれん草の豆乳みそスープ

 

 

―まとめ―

 

無月経による不妊や体調不良だけでなく、競技としてケガをしないこともセルフケアとして非常に重要な点となります。

ぜひ自分の体と向き合う時間を作り、競技以外の時間をどう有効的に活用するのか考えてみましょう。

 

 

★喜多さんのSNS

Instagram:アスリート個別栄養サポートきたみのり/管理栄養士/公認スポーツ栄養士

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