【スラックライン】中村陸人選手のインタビューを公開しました
- 2020/05/13
- インタビュー
納得いくまで技を追求。夢は、世界No.1の強くて優しいスラックライン選手になること
国内外の数々のスラックライン競技大会に出場し、「リクトフリップ」というオリジナル技も武器にその多くで優勝・上位入賞の成績を残しているのが、中村陸人選手。現在は小学6年生ながら、2019年度スラックライン競技世界ランキング(ISI)4位にランクインしています。
陸人選手のお父様、そして弟の拓志選手もスラックライン選手。そのため、お父様から指導とサポートを受けつつ、兄弟で切磋琢磨しながら日々練習に励んでいます。
今回は、スラックラインに取り組む姿勢や思い出に残っている大会、今後の目標などについて陸人選手にオンラインでインタビュー。お父様にも同席いただき、陸人選手へのサポート方法やジュニアアスリートの親としての心構えについて、お話を伺いました。
親子そろってスラックライン選手
――まず、スラックラインを始めたきっかけを教えてください。
陸人選手:お父さんがスラックラインをやっていて、3才くらいから練習場に一緒に連れて行ってもらっては、手を引いてもらいながら遊んでいました。一人で跳ねるようになったのは5才ごろからです。
――飛んだり跳ねたりすることは怖くなかったですか?
陸人選手:最初は少し怖かったけれど、慣れるとどんどん楽しくなってきました。自由に飛んだり跳ねたり回ったりできるところが、スラックラインの楽しさだと思います。
――お父様もスラックライン選手ですが、どんな経緯で始められたんですか?
お父様:私は元々BMXをやっていたんですが、子どもが生まれてからはBMXの練習に行くことが難しくなってしまったんです。そんな時に、CMでスラックラインを目にして興味が湧きました。偶然、近所にスラックラインをやっている人がいたので一緒にやらせてもらうようになり、陸人も連れて行くようになったんです。
――お父様から見たスラックラインの魅力とは?
お父様:習得が難しいところです。私は、跳ねられるようになるまで半年掛かりました。カッコいい技ができるようになるまで時間が掛かるからこそ、できた時の達成感がすごく大きいんです。
――親御さんの中には「自分がやっているスポーツを、子どもにもやってもらえたら」と願う方もいます。子どもに、どうアプローチしていけばいいと思いますか?
お父様:大前提として、子どもが「楽しい」と思わないと続きません。陸人の場合は、物心が付いた時にはスラックラインを始めていたので、スラックラインをするのが当たり前の生活になっているかもしれない。けれど、小学生くらいになって自我が育つと、自分が興味が持てるものしかやらなくなります。陸人だってこの先、「別のスポーツや音楽をやりたい」と言うかもしれない。私は、そうなってもいいと思っています。子どもがやりたいことを思い切りサポートしてあげるのが親の役目だと思います。
技を決められるようになるまで、何度も何度も練習する
――陸人選手の強みを教えてください。
陸人選手:ひねり技です。「リクトフリップ」というオリジナル技も、後ろに宙返りをしながら1回転半ひねる、ひねり技なので。スラックラインの上でしっかり回れるように体操教室に通っていて、そこで先生に見てもらって、綺麗に回れるようになりました。
――ちなみに、新しい技を覚えたり、生み出したりする時はどうやって?
お父様:スラックラインの大技を決めるのは、単にセンスで為せるものではなくて、一つずつの技の積み重ねなんです。たとえば、「リクトフリップ」は、まずバックフリップという技ができないと始まらない。それができたらバックフリップの半ひねり、さらに1回ひねりと段階を踏んでアレンジを加えて始めてたどり着ける技なんです。
――新しい技に挑戦する時はドキドキしませんか?
陸人選手:怖いと思うこともあります。でも、お父さんが付いてくれているので、最近は安心して挑戦することができています。
お父様:スラックラインは硬くて、鞭みたいに跳ね返ってくるので、実は失敗した時はかなり痛いんです。でも、陸人が「やめる」と言い出すか、体力的に「これ以上は危険」と判断するまでは、口を出さず見守るようにしています。陸人は、負けず嫌いなのでなかなか自分からはやめませんが(笑)。本当に長い時間、スラックラインに乗っているんですよ。
陸人選手:「リクトフリップ」よりも1回転ひねりが多い、後方宙返りの2回転半ひねりをする「コンチネンタルフリップ」は一番難しかったです。けれど、絶対に成功させてやるって気持ちで挑戦し続けました。
――弟の拓志選手もスラックラインの選手ですが、どんな存在ですか?
陸人選手:一緒に練習している時は仲間で、大会ではライバルです。僕の次に拓志が「リクトフリップ」を決めたので、すごいなと思います。
お父様:拓志は、技を次々と決める陸人の姿を見ているので、できるイメージが湧きやすくて成長が早いんです。それで、成長した拓志を見て、陸人は「負けたくない」とさらに頑張る。切磋琢磨し合う関係性ですね。
「どんな環境の中でも力を出せる選手が、強い選手」
――これまでで、一番印象に残っているのはどの大会ですか?
陸人選手:2019年12月の「NINJA GAMES」です。コンチネンタルフリップを決められて、自己ベストの得点を出して準優勝することができました。世界ランキング(ISI)4位にもなれたので、すごくうれしかったです。
――毎回、大会が終わると日記を書いてFacebookページでも公開されていますよね?いつから始めたのですか?
陸人選手:初めて大会に出た時から続けていて、よかったことやできなかったことを書いています。
お父様:勝敗の前に、まずは練習してきたことを100%出し切ることが大事です。なので、毎回しっかり反省して、次の目標を立てて、一つずつステップアップしていく意識を持たせています。
――海外の大会にも出場されていますが、日本と海外の大会での違いはありますか?
陸人選手:大きな違いは、スラックラインの高さです。国内では主にジュニアクラスの大会に出場しているので、130センチ〜150センチくらいの高さのスラックラインの上で競技をしているんですが、海外の大会ではスラックラインの高さが160センチ〜180センチになるので、跳躍のタイミングを合わせるのが難しくなります。
お父様:海外は体重の重い選手が多いので、スラックラインを引っ張る強さを変えるため、高さだけでなく硬さも変わります。陸人にとっては、ものすごく硬いスラックラインの上で演技をしなければなりません。スラックラインは世界的に統一された規定がまだはっきりと定められていないため、大会によって環境が変わります。その中でもコンスタントに技を繰り出せる選手が強い選手なので、日頃から次の大会を想定した環境を作って練習をしています。
――お父様の中で、印象に残っている大会はありますか?
お父様:ドイツで開催された大会で、陸人が決勝トーナメントでチリのアブラハム・ヘルナンデス選手と対戦した時のことですね。アブラハム選手は、陸人の憧れの選手なので。
――憧れのアブラハム選手と対戦が決まった時はどんな気持ちでしたか?
陸人選手:まさか対戦できると思ってなかったので、すごく嬉しかったです。
お父様:世界はもちろん、国内にもスラックラインのトップレベル選手がたくさんいるので、大会に出るたびに陸人は刺激を受けています。他の選手を見て、「あの技はできそうだ」とイメージして取り組むことも多くある。SNSや動画で技を見ることができる時代ですが、生で見るのはやっぱり特別みたいですね。
スラックラインはもちろん、勉強も好き。何事も追求する性格
――普段はどんな練習をされていますか?
陸人選手:月曜から木曜は学校終わりに毎日2時間練習して、土日は9時から17時まで練習します。平日はコンボ練習をして、お父さんが付き添ってくれる土日に新しい技の練習をします。
お父様:新しい技は失敗した時に危険が伴うので、安全を保った上で練習ができるようにサポートしています。
――金曜日はお休みですか?
陸人選手:金曜日は、英語と体操を習いに行っています。海外で活躍したいので、英語も話せるようになりたいと思って習い始めました。
――新型コロナウイルスの影響で休校になった期間は、どんな練習をしていましたか?
お父様:緊急事態宣言が発令されてからは、練習場に行くことも控えていました。そのため、家の周りを走ることと、スラックラックでバランスを取る程度しか練習はしていません。自粛期間が明けるまでは、勉強に力を入れてもらえたらと思って(笑)
陸人選手:今年、小学6年生になるので宿題の量が多いんです。なので、朝起きてゲームをして、ご飯を食べたら勉強をしています。勉強に疲れたら、走りに行ったりスラックラックをします。
――走っているとのことですが、スラックラインに体力はかなり必要ですか?
お父様:以前は大技を一発決めれば勝てることが多かったんですが、今はコンボを繋げられないとなかなか勝てませんから。コンボを繋げるのは息が上がるくらいハードなので、やっぱり体力は必要ですね。
――他に体を鍛えるためにやっていることはありますか?
陸人選手:特別なことはしていません。体操教室で習ったことを家でもやっているくらいです。
お父様:体が出来上がっていないうちから筋肉を付けすぎても体に負担が掛かると思うので、無理な筋トレはさせていません。ただ、柔軟性が無いとケガしやすくなってしまうので、ストレッチは欠かさずやらせています。
――陸人選手は、勉強は好きですか?
陸人選手:はい。特に国語と算数が好きです。
お父様:クイズ番組は欠かさずに見ていますよ。わからない漢字に出会ったら、すぐに国語辞典を開いて探すほどで、追求するのが好きな性格なんだと思います。
――ジュニアアスリートの親御さんには、競技と学業の両立に悩まれる方もいると思いますが、お父様はどんなお考えをお持ちですか?
お父様:できる限り両立させたいです。正直言って、スポーツはケガしたら終わりだと思っていて。本人に「スラックライン一本でやりたい」という意志があっても、賭けになってしまう部分もあるので。いざという時に選択肢を広げるための一つの手段として、勉強にもしっかり取り組んでほしいと思っています。
「疲れが残らないので、また明日も元気に練習ができる」
――普段の食事や生活で、気を付けていることはありますか?
陸人選手:好き嫌いせずに食べることです。納豆以外は食べられます。あと、早寝早起きはしていて、21時ごろに寝て5時に起きています。
――DR.SENOBIRU(ドクターセノビル)は飲み始めてどれくらいですか?
陸人選手:セノビルは小学5年生の夏から朝と夜に飲んでいます。最初に飲んだ時から、おいしくて飲みやすいと思いました。グレープフルーツ味が好きです。
――DR.SENOBIRU(ドクターセノビル)を飲み始めてから、変化を感じることはありましたか?
陸人選手:飲み始めた頃は136センチ、36キロだったのが、141センチ、40キロになりました。飲むと元気になるので、ハードな練習をした次の日もまたいっぱい練習することができます。
お父様:疲れが残らなくなったのは、見ていても感じます。ハードな練習をした翌日も、集中して練習や勉強に励めていて、日々のバランスがきっちり取れていますね。
――お父様は、DR.SENOBIRU(ドクターセノビル)のような成長期サプリメントについてどうお考えですか?
お父様:陸人は好き嫌い無く食べてくれますが、男の子が二人いる家庭だとどうしてもお肉料理の割合が多くなりますし、普段の食事だけでは摂取できない栄養素もあります。そこを補ってくれるセノビルのようなサプリメントはとてもありがたいですね。
――他に、開発を希望されるサプリメントはありますか?
お父様:屋外でスラックラインの練習をしていると、日焼けをするのでどうしても体力を消耗しやすいんです。熱中症にかかるのはとても怖いので、熱中症を予防できるようなサプリメントがあればすごく助かります。
優しくて憧れられる、世界一のスラックライン選手を目指して
――お父様は、SNSなどで陸人選手の情報発信も積極的にされていますよね。
お父様:スラックラインのメーカーにサポートしていただきながら活動しているので、しっかりと情報発信をすることは、プロとしての責任だと思っています。それに、新しい技を見てもらったり、試合での活躍を知ってもらったりすることは、陸人のモチベーションにもなっているんです。
陸人選手:名前を覚えてもらえて、試合で声を掛けてもらうことも多くて、うれしいです。褒めてもらえると、すごく励みになります。
――今年の目標と、将来の夢を教えてください。
陸人選手:「ギボン日本オープンスラックライン選手権大会」で5連覇をすることと、世界ランキングで3位以内に入ることです。将来はスラックラインで世界一になって、優しくて憧れられる選手になりたいです。
――お父様は、陸人選手にどんな大人に育ってほしいですか?
お父様:自分のことを自分で決められる人に育ってもらいたいです。選手としては、目標に向かって精一杯練習をしていくことがカギだと思うので、親としてしっかりサポートしたいと思います。
――最後に、ジュニアアスリートの親御さんへ、アドバイスをお願いします。
お父様:私と妻が大事にしているのは、まずは子どもを認めてあげることです。新しい技が決まった時には大喜びするし、たとえ失敗しても一生懸命取り組んだことを褒めてやっています。そして、子どもが成長するためには、親も一緒に頑張ることが大切です。子どもの声に耳を傾けて、常にどうしてあげることがベストなのかを考えながら、親子で成長していってほしいですね。
取材後記
ハキハキと丁寧な言葉遣いで、礼儀正しくインタビューに答えてくれた陸人選手。小学生とは思えないほどしっかりしていて、プレーと内面の両方を日々磨かれているのだなと感心しました。勉強にもしっかり取り組むなど、どんなことにも興味を持ち追求する姿勢の持ち主であることが、世界で活躍できる秘訣なのではと思ったものです。
そんな陸人選手を支えるお父様は、指導役でありながら、「見守る」「認める」ことを第一に置いている姿が印象的でした。インタビュー中も、親子で会話を交わす様子から信頼関係が垣間見えました。優しく温かい家族が支えてくれているからこそ、安心して練習ができ、大会で普段通りの力を出すことができる。強い味方を持つ陸人選手は、今後も世界一に向けて活躍を重ねてくれるに違いありません。
<プロフィール>
中村陸人(なかむら・りくと)
2008年7月24日生まれ
5歳の時に、スラックラインプレイヤーであるお父さんの影響でスラックラインを始める。国内外の数々のスラックライン競技大会に出場し、その多くで優勝・上位入賞の成績を残している。後ろに宙返りをしながら1回転半捻る「リクトフリップ」という彼にしかできない技を持つ。
2018年度スラックライン競技世界ランキング(ISI)5位ランクイン。2019年、同ランキング4位にランクイン。
2019年9月、長野県小布施町で開催されたスラックラインの世界大会「スラックラインワールドカップ
弟の中村拓志くんもスラックラインをやっており、兄弟でパフォーマンスを行う機会も多い。
憧れの選手はアブラハム・ヘルナンデス選手(チリ)。将来の夢は世界ランキング1位になること。
【関連リンク】
中村 陸人選手丨チームセノビル
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