―第2回「最近、練習についていけないのは鉄不足が原因かも?」
- 2025/12/03

アスリートの隠れた課題「鉄不足」とパフォーマンス低下の関係
第2回となる今回のテーマは 「鉄不足」。
「練習についていけない」「集中力が続かない」…そんな悩みの裏側には、実は“鉄”が関わっているかもしれません。
アスリートに欠かせない鉄の役割や、不足による影響、食事での工夫について、きたさんが詳しく解説します。

最近、練習についていけないのは鉄不足が原因かも?
いつもと同じ練習をしているのになぜか最近練習についていけない…。ケガが増えた。集中力が落ちた…。
「体力が落ちたのは練習不足が原因だ!」そう決めつけている選手は危険信号です。
実は鉄不足が原因かもしれません。
―アスリートにとって鉄が必要な理由って?―

私たちの全身には血管が張り巡らされ、血液が各細胞に酸素を運搬しています。
その酸素を運搬するのが【ヘモグロビン】、さらにその材料になるのが【鉄】です。
つまり鉄が不足することで酸素が本来必要な量を供給できず、酸欠いわゆる体力不足に似た症状が出やすくなるのです。
また月経で定期的に鉄が排出される女性だけではなく、実は男性の隠れ貧血も非常に多いです。
アスリートは運動中に必要な酸素量が多いことに加え、特にバレーやバスケなどジャンプの多い競技や陸上・サッカーなどの走る競技は足底からヘモグロビンの中にある【赤血球】が壊れて気づかぬ間に貧血になっていることもあります。
つまり、アスリートにとって貧血は男女ともにパフォーマンスアップにおいて意識をしておく必要があります。
―鉄不足の自覚症状って?―

正確に鉄不足を知るためには血液検査をして数値で判断することが一番ですが、すでに自覚症状がある選手は危険信号です。
自覚症状の例として、日常での倦怠感や目覚めが悪い、息切れ・めまいの他、練習強度に関わらず練習についていけなくなった、その他下瞼の裏が白いことも貧血のサインです。
1つでも当てはまる選手はぜひ検査で早めに確認することをおすすめします。
―どんな食品に鉄が含まれる?―

鉄には動物性の【ヘム鉄】と植物性の【非ヘム鉄】の2種類があります。
ヘム鉄の方が吸収率が良く、レバー・牛肉・カツオ・マグロ・ハツ・砂肝等に含まれるので、お刺身・焼き鳥などで摂りやすいですね。
また非ヘム鉄の場合、吸収率はヘム鉄に劣りますが、納豆や豆腐・小松菜など日常的に摂取しやすい食品が多いため、頻繁に使いやすいですね。
また日常的に調理等が難しい場合は、市販の鉄分ヨーグルトやジュース・飴・ふりかけなどでちょい足しをしながら鉄分補給をすることもおすすめです。
加えて、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がるので、レモン汁をかけたり、オレンジジュースやフルーツを食べるタイミングに合わせてとることもおすすめですね。
参考レシピ:塩レバー炒め
―まずは自分の今の体の状況を知ろうー
これから夏場にかけて暑くなり、汗からも鉄が流れ出ていくので、放っておくとさらに鉄不足は進みやすく、一度鉄不足になると正常な数値まで戻すのに1年近くかかる場合もあります。
症状が当てはまる選手はすぐに行動して、鉄を味方に変えられるように食事も見直して
パフォーマンスアップを目指していきましょう。

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